文法

言葉の単位5つ|文節に区切るやり方

ことばは私たちにとって大切な働きをしている

自分の考えや感情を他人に伝える際に、言葉を使います。このほかにも、見る・感じたことから理解して物事を考えます。

本記事は、ことばを正しく使うために「言葉の単位」について解説します。

要点

■言葉の単位

言葉の単位、文章・段落・文・文節・単語(左から順に大きい)

文章

複数の文が統一された内容を表現し、一つの完結した形を成すまとまりのこと

段落

文章の中で内容ごとに分けられた一つのまとめり

句点(。)などで区切られ段落の中で一つの内容を表しー続きの意味を持つ

文節

文を発音や意味が不自然にならないようにできるだけ短く区切った最小の単位

単語

言語において、最小の独立した意味を持つ単位


■文節に区切る方法

「ネ」を入れて区切る

【ポイント】

補助語は文節を区切る

指示語は文節を区切る

独立語は文節を区切る

複合語は文節に区切らない

本記事で書かれていること

  1. 言葉の単位5つの解説
  2. 文節に区切るやり方

言葉の種類「口語と文語」

ことばには、口語と文語の2種類あります。

2種類

口語:現在使っている言葉(話し言葉・書き言葉)

文語:平安時代の言語を基礎とした文体(書き言葉)

本記事で説明するのは、口語の文法です。

文語文法は平安時代の言語に基づき、それより後の時代の言語要素も少し加わっています。(明治初期の文章語まで含まれている)

文語体で書かれている『源氏物語 紫式部』の本文を一部抜粋します。

いづれの御時にか、女御にょうご、更衣こういあまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際きわにはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり

源氏物語

難しいですよね。

ひとまずは、「ことばには口語と文語があり、現在使われているのが口語」と知っておくといいでしょう。

言葉の単位

文章

「文章」とは、複数の文が組み合わさり、一つの完成された思考や概念を表現する言語単位

言い換えると

・特定のトピックや考えを全体として表現するもの
・始まりと終わりがある、独立した意味の単位
・文脈や背景情報を含む、より大きな言語的枠組み

(例)

健康的な生活習慣は、私たちの人生の質を大きく向上させる。/バランスの取れた食事と定期的な運動は、身体の健康維持に不可欠である。/十分な睡眠も、心身のリフレッシュに重要な役割を果たしている。/

しかし、現代社会では忙しさのあまり、これらの基本的な習慣を疎かにしがちである。/ストレス管理と自己ケアの時間を意識的に設けることが、健康的な生活を送る鍵となるだろう。

これは、5つの文と2つの段落で構成されており、全体として文章を形成しています。

身近なところでいうと、現代文の問題集には「次の文章を読んで、後の設問に答えよ。」のようなことが書かれています。チェックしてみてください。

段落

「段落」とは、文章の中で内容ごとに分けられた一つのまとめり

特徴

  1. 内容のまとまり:一つの段落は、通常、一つの中心的な考えや主題を扱う
  2. 形式的特徴:新しい段落は、一般的に行を改めて書き始め、最初の文は一文字分下げることが多い
  3. 構造的役割:段落は文章全体の構造を明確にし、読みやすさを向上
  4. 論理的展開:段落の連なりによって、文章の論理的な流れや展開が表現される
  5. 読者への配慮:適切な長さと区切りの段落は、読者の理解を助け、文章の消化を容易にする

段落は、文章を整理し、読者が内容を理解しやすくするための重要な要素です。適切な段落分けは、文章の論理性と読みやすさを大きく向上させます。

「文」とは、句点(。)などで区切られ段落の中で一つの内容を表しー続きの意味を持つことばの単位

時間は貴重な資源だ。

有効に使うことで、人生はより豊かなものになる。

||

時間は貴重な資源だ。有効に使うことで、人生はより豊かなものになる。

この文章は、2つの文からできています。

普段の生活では、文章と文の区別をしていないことが多いはずです。文法の学習をする際は、「文章」と「文」を区別しておきましょう。

文節

「文節」とは、文を発音や意味が不自然にならないようにできるだけ短く区切った最小の単位

特徴

1.定義:一つの独立した品詞(自立語)に、それに付随する付属語(助詞や助動詞)がついた形

2.区切り方:話すときに少し間を置いて区切れる部分が文節の境目

3.構成:一つの文節は、必ず一つの自立語を含む。自立語のみの場合もあれば、自立語に付属語が付く場合もある

4.役割:文の構造を理解しやすくし、文法的な分析を行う際の基本単位

文節に区切る方法

単語

「単語」とは、言語において、最小の独立した意味を持つ単位。それ以上分割すると意味を失うもの。

名詞、動詞、形容詞、副詞など、様々な品詞に分類される。

(例)

・名詞:犬、本、幸せ
・動詞:走る、食べる、考える
・形容詞:美しい、楽しい、大きい
・副詞:とても、ゆっくり、すぐに

単語は言語の基本的な構成要素であり、これらを適切に組み合わせることで、文や文章が作られます。

チェック

言葉の単位の大きさは、単語<文節<文<段落<文章

文章

複数の文が組み合わさり、一つの完成された思考や概念を表現する言語単位

段落

文章の中で内容ごとに分けられた一つのまとめり

句点(。)などで区切られ段落の中で一つの内容を表しー続きの意味を持つ

文節

文を発音や意味が不自然にならないようにできるだけ短く区切った最小の単位

単語

言語において、最小の独立した意味を持つ単位

文節に区切る必要性とやり方

なぜ、文節に区切る?

その必要性をかんたんにまとめます。

文節区切りの必要性

1.主語、述語、修飾語などの関係が見えやすくなる

2.各文節の役割(主語、目的語、補語など)が分かりやすくなる

3.文節の区切りは多くの場合助詞で終わるため、助詞の働きや重要性を理解しやすい

4.どの文節がどの文節を修飾しているかが明確になる

5.文節は通常一つの自立語を中心に構成されるため、品詞の概念を理解しやすくなる

文の構造把握・文法的機能・副詞の働き・修飾関係の明確化・品詞の理解に必要なわけです。

文節に区切る方法とポイントを紹介します。

「ネ」を入れて区切る

学校で意味が自然になるよう「ネ」を入れて区切ろうと教育を受けた人は多いはずです。

(例)私は昨日新しい本を買った。

私は/ 昨日 / 新しい / 本を / 買った

このやり方を覚えておくことは便利です。

ポイント

文節に区切る際に覚えておきたいポイントをまとめます。

POINT

  1. 補助語は文節を区切る
  2. 指示語は文節を区切る
  3. 独立語は文節を区切る
  4. 複合語は文節に区切らない

補助語は文節を区切る

補助語は、それ自体で意味を持たずほかの語に付いて文法的な機能を果たします。「こと、もの、いる、みる、もらう」など

例えば、「遊んでいる」の”いる”は意味を添える語。「いる」で一文節になります。

(例)子供たちが / 公園で / 遊んで / いる

語の前に「~て(で)」があるかどうかで見分けよう。

指示語は文節を区切る

指示語は、特定の物や人、場所、状況などを指し示すために使われる言葉です。「こそあど」ことばともいわれています。

「この」「その」「あの」「どの」

(例文)この / 花の / 香りが / とても / 良いですね

独立語は文節を区切る

独立語は、文中の他の語句とは文法的に関係を持たず、独立して使われる語や句のことです。呼びかけ・感動・応答・提示などを表す語です。

独立語

  • 呼びかけ:もしもし、やあ、さあ、ねえなど
  • 感動:おお、ほら、まあ、あらなど
  • 応答:はい、うん、いえ、いいえなど
  • 提示:1月、富士山、エベレストなど

(例)やあ、/ 僕は / 山田だ。

複合語は文節に区切らない

複合語とは、二つ以上の語が結合して一つの語としての意味を持つようになった言葉のことです。

(例)編み物、物語る、力強い、受け取る

これらの複合語は、一つの語として意味を持つため区切らず一つの文節になります。


参考文献

文章(p2448).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
段落(p1728).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
文節(p2446).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
単語(p1717).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
口語(p914).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
文語(p2445).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
修飾(p1279).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
複合語(p2374).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
独立語(p1954).松村明編(2019年)大辞林(第4版).三省堂.
文章(p2618).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
段落(p1855).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
文節(p2619).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
口語(p977).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
文語(p2616).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
修飾(p1379).新村出編(2018年)広辞苑(第7班).岩波書店.
文章(p556).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
段落(p556).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
文節(p558).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
単語(p207.p209).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
口語(p214).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
文語(p214).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.
修飾語(p263).日本文法学会編(2014年)日本語文法辞典.大修館書店.


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